朔也さんの料理教室の終わった後、いつものようにお茶を飲んでいた。


「今日はやけにご機嫌だね?桃華ちゃん」

「そうなんですよっ。朔也さん聞いてください!」

「ちょ、望亜奈さんっ」

「え?何だろう?聞きたいなぁ?」


ちょっといたずらっぽい頬笑みを浮かべて望亜奈さんに耳を寄せてる。
望亜奈さんも望亜奈さんで、そんな朔也さんにコソコソと耳元で楽しそうに言っては二人でニヤニヤしている。

どうせ言われてることなんて、週明けから私が機嫌がいいとか。
ずっとニヤニヤしてて気持ち悪いとかそんなこと言ってるに違いないし。


「なるほど、だから桃華ちゃんの肌がツヤツヤなんだね?」


え?
なにそれ?
肌がツヤツヤ?
まぁたしかにそう言えばここ数日肌の調子はいいけど。
でもそれ、なんか関係がある?


「本人ぜんっぜん、気づいてないんですよ?」

「それだけ幸せってことなんじゃないのかな?」

「でも、あの主任がって考えると…プププ」


プププって、望亜奈さんっ
どんな想像してるんですかっ


「もしかして、見た事ないんだ?」

「ええ、主任は職場では冷静沈着で堅物な上司で通ってましたし。桃ちゃんだって最初は怖がってましたしね」

「なるほどねぇ、でもあれは一度見てみるべきだね。すごいから」

「朔也さんっ」


勝手なことばっかり言ってる二人。
恥ずかしいからこれ以上はやめて欲しい。


「あんな純哉、今まで見たことないから面白くてね」


面白い?
一緒にいるようになってからは主任はずっとあんな風なんだけど…

でも、もしかしたらもっと前は違ったのかな?


「あのっ、朔也さん?主任って大学時代ってどんなだったんですか?」

「え?」

「私、主任の事全然知らなくて」

「俺より桃華ちゃんの方が純哉の事知ってると思うけど?」

「あの?」

「今の純哉の事を一番知ってるのは桃華ちゃんでしょう?」

「えと、でも」

「過去の純哉を確かに知ってるけど、今の純哉の事を知る方が大切なんじゃないのかな?」

「私もそう思うわ、桃華ちゃん」


突然現れたのはアヤノさん。
朔也さんの事お迎えなのかな?


「あ、ミレイ。早かったね」

「ええ、待ちきれなくて近くまで来ていたから」


そう言って微笑んだアヤノさん。
やっぱり朔也さんの前で微笑むアヤノさんは、綺麗と言うよりも可愛らしい印象が強い。