今日はお婆様の家で初めてのお料理会。

お母さんは張り切っちゃって今回のためにエプロン新調したって言ってた。

私は朔也さんのお料理教室に通うことになってから新しいのを買ったからとりあえず今日はそれを用意した。


今回は初回と言う事で軽くお菓子を作るらしい。

いつの間にお婆様とお母さんが仲良くなってて二人で決めてた。

今ではすっかりメル友なんだって。

あんなに携帯メール嫌がってたお母さんなのにいつの間にそんなにやり取りできるようになったんだろう?



1時にお婆様の家に行く約束をしているので、11時に待ち合わせをしてお母さんと一緒にランチをした。

お母さんもなんだかんだ言っておいしいものは大好きだから、外でランチとかってすごく喜ぶんだよね。



「お母さん、いつのまにそんなに携帯できるようになったの?」


目の前でメールの確認をしている母親を見て驚いたからそのまま聞いてみた。


「え?富貴子(ふきこ)さんとやり取りしてたら出来るようになったのよ」

「富貴子さん?」

「あぁ、お婆様の名前。鈴木富貴子さんっておっしゃるのよ」

「え?堂地じゃないんだ?」

「あら、桃華ちゃんそんな事も知らなかったの?」

「ぇ……」


だって家族の話なんて知らなかったし。

大体付き合うことになってからまだ両手で足りるぐらいしか会ってない。

主任のことさえ知らないのに、家族の話しに到達してるわけない。


「堂地さんのお母様のお母様。が、富貴子さん。それで富貴子さんの旦那さんはもう亡くなっちゃったから今あの広いお屋敷で一人暮らし。桃華ちゃんの家をハウスクリーニングしてくれてる人と同じ人が富貴子さんのお家も担当してるんですって」


「そ、そうなんだ。お母さんって何でも知ってるのね?」

「桃華ちゃんが知らないだけだと思うわよ?」


え、、、、


「大体ね。桃華ちゃんは人の事に興味がなさすぎなのよ」

「や、そんなこと――――」
「だって潤季(じゅんき)ちゃんだって同じ市内に住んでたのに知らないし、堂地さんのご家族の事も全然知らないじゃない」


そう言われると、何も言えなくなる。

だって本当にその通り。

もしかしてこれって望亜奈さんに言われた鈍感とかほんとにわかってないとか言われたのに繋がる事なのかもしれない。