次の土曜日。

駅で待ち合わせ。

前日に急にゴルフに行くと言ったお父さんを置いてお母さんが一人で来ていた。


「とりあえず先に見に行く?」

「そうね、そのあとでお茶にしましょうか」


駅から5分の主任の家。

いつもと違うルートで歩いてみたら近くに大きなお屋敷があった。


「すごいおうちねー」

「ほんと。お掃除大変そう……」

「桃華ちゃん、こういうお家の人は自分ではお掃除しないのよ?」

「あぁそうだよね」


たしかにそうだ。
まぁでも、私には一生縁のない話だ。


あっという間にマンションにつき、エントランスを抜けてそのままエレベーターに乗り15階を押す。


「ずいぶん高い所なのね」


そう言われてみれば、最上階だった。
何度も来てるのにそんなことにも気づかなかった。

鍵を開けて部屋に入ると、一週間閉め切っていた割には部屋の中の空気が澄んでいる。

そんな事を考えているうちにお母さんは玄関の中に入っていた。


「桃華ちゃん、あがってもいいかしら?」

「あ、もちろん。どうぞ」


なんか、照れる。

私の家じゃないのに、お母さんを招き入れてるなんて。


「ここ、何部屋あるの?」


お母さんに間取りを説明して、実際に見てもらってる。


「このお家、定期的にハウスクリーニングしてるのね?」

「え?そう、なの?」

「あら、桃華ちゃん知らなかったの?今日だってきっと午前中にしてくれてるわよ?」

「なんか、空気が澄んでるなぁとは思ってたけど、そうだったんだ」


昨日のうちに主任には今日ここに来ることを伝えていたけど、その時にそんな話はでなかったんだけどな。


「堂地さんて、」


―――ピンポーン



え?お客様?

私がおろおろしているとお母さんがインターホンに向かって話していた。

え?ここ私の家じゃないのに出ちゃったりしたら……


「あら、まぁ。」


そう言ったあとで玄関に走っていくお母さん。

何事?


リビングで立ち尽くしていると、そこに現れたのは年配の上品そうな女の人。