社会人1日目はあっという間に終わった。

早い時間に帰れた私は夕食の準備をしていた。


「心菜、ただいま。」

「えっ?おかえり。」

「何で驚くの?」

「今日は早くない?」

「早く帰ってきた。ご飯でも…………って遅かったか。」

「あー、遅いと思って作っちゃった。」


キッチンで料理をする私に近づいてくる慈英を見つめる。

近づいたと思ったら抱き締められて固まる。


「えっ?」

「今朝はごめん。」

「あー、大丈夫。遅刻もしてない。」

「ごめん。」

「間に合ったし、全然大丈夫。」


首に顔を埋める慈英の頭を撫でる。


「心菜。」

「ん?」

「愛してる。」

「ふふっ、ありがとう。」

「心菜は?」

「愛してる。」


埋めていた顔を少し上げた慈英の目と目が合う。

途端に色気が溢れる慈英に危険を察知して視線を外した。


「心菜。」

「ん?ご飯、もう少し待って。」

「仲直りしたい。」

「…………もういいって。」

「風呂、一緒に入ろ。」


やっぱり。

喧嘩した後、慈英は口説き始める。