「光~?あんた、今年の夏北海道に行くことになったから。」
事の始まりは母の何気なく発されたこの一言だった。
「えー?なんで?」
「お祖母ちゃんが顔を見せなさいだと。私はめんどくさいからあんた代わりに行ってきてー。いってきまーす」
めんどくさい。そう言おうとしたときにはもう既に母は家を出発していた。
仕方なくダイニングの壁に掛けてあるカレンダーを見ると、夏休みの中の方の3日間に赤丸がついていた。
「あ、そう言えば、お祖母ちゃん家ってことは…。あっ!翔太と直樹に会える!」
思わずピョンピョン跳ね回ってしまった。
「喜びの舞い…‼なんつって(笑)」
この旅行が、大事件の引き金になるとも知らず、私はただ顔をにんまりさせていた。



夏休みも半分終わり、とうとう北海道に出発!という頃、私のスマホに連絡が入った。
ぽっぴんっ!
「ん?ロインが我を呼んでいる~????」
内容とは……
[光?今日こっち来るんだってな!なんで言ってくれなかったんだよ……(笑)(怒)]
[あ、翔太ゴメン(_ _(--;(_ _(--;ww忘れてたんだわ爆笑]
翔太からであった。いやー、驚かせようと思ったんだけどなぁ……。
ぽっぴんっ!
「今度は誰じゃ!」
[光、今日こっちくるんだね。事前に言ってくれれば良かったのに。]
[えへへん!ちっとばかり驚かせたかったのだよ!ごめんねーm(。≧Д≦。)m]
直樹からだった。あいつら性格間反対の癖にやることが毎回一緒なんだよなぁ…。顔の筋肉がゆるゆるになっているのがわかるぜ…。
ぽっぴんっ!ぽっぴんっ!
「……嫌な予感が。」
[[夏休みの課題終わらせたか/の?]]
………………(# ゜Д゜)
私の口は今、指何本入るかわからない位開いているだろう、パッカーンと。
忘れて、いたのに……。


途端に光の背後から闇のオーラが吹き出す。闇の中で光った瞳はおぞましげに怪しく輝き、その口元はひきつった笑みを浮かべていた。
「んふふ、んふふふふ……」ゴゴゴゴゴゴォォォォォ
ミシリ……スマホを持っている手に力がこもる。
そのままその手を上に掲げ、思いっきり力の限りソファーにスマホを投げつけた。
ベシッ……………………。
(痛イヨ……光チャン……)
スマホが密かに泣いた、気がした。
ぽっぴんっ!ぽっぴんっ!ぽっぴんっ!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!(泣)」
光は膝からガックリと崩れ、砕け散った。


[おーい、光?……まさか、お前…。]
[光ちゃん?全くやってないの……?]
[光、あんたちゃんと北海道行くのよ!]

ぽっぴんっ!ぽっぴんっ!ぽっぴんっ!
ぽっぴんっ!ぽっぴんっ!ぽっぴんっ!