満月の夜、木々に囲まれた小さなお家に赤子の泣き声が響き渡った。


母親ソックリなピンク色の髪の毛の元気な女の子。



「なんて愛らしい子なんだ。 ありがとうアヴァ」



男は涙を流しながらアヴァの額に口付けをした。表情は柔らかく、愛情に溢れている。



「抱いてあげて」

「あぁ」



男は恐る恐る赤子を受け取ると、壊れ物を扱うように抱きかかえた。静かに眠る娘を見ながら涙を流した。



「ベアトリーチェにしよう」

「ベアトリーチェ……素敵な名前。 この子もきっと喜ぶわ」

「私はこれから先も何が起ころうと、アヴァとベアトリーチェを愛し続けるよ」

「私もあなた達を愛し続けるわ」



男はベッドに横になっているアヴァの唇に口付けをした。


ベアトリーチェの誕生によって世界が大きく揺らぐことになるなど、誰も知る由もなかった。