「この間は、楽しそうだったわね」
「…なにが」
夜、仕事を終え帰ってきた姉ちゃんが缶ビール片手に嬉しそうに笑った。
なんのことだと怪訝に見ると、姉ちゃんはさらにその笑みを濃くする。
「家で騒いでたでしょう?私は出かけてたから見たの終り頃だったけど」
「ああ…。別に、楽しんでなんか…」
「うそばっかり」
姉ちゃんに嘘はつけない。
それは、姉ちゃんに頭が上がらないとかそういう類の話ではなく。
姉ちゃんはそういう所鋭いのだ。
「あの、茉侑ちゃんだったっけ?素直でとてもいい子そうだったし。統太はいつも明るいけど、いつにもましてテンション高くて楽しそうだった」
「…勝手にあいつらが押しかけて来て、騒いでたんだ」
「それを、凛は受け入れてる。姉ちゃんは、そこが嬉しいのよ」
「わけわかんねぇ」