「あの子、なにちゃん?」

「…は?」

「今朝の子」

「姉ちゃんに関係ないだろ」




あれから、適当にフラフラ歩き回って気持ちを落ち着かせた後家に戻った俺に、姉ちゃんが好奇心たっぷりの顔で聞いてくる。



「はあ?いつからそんな可愛くないこと言うようになったのかな、うちの凛ちゃんは」

「俺は可愛くねえし、凛ちゃん言うな!」



いつまでもおれが子どもだと思ってんだ、うちの姉ちゃんは。
でも、姉ちゃんを怒らせたら怖いことは俺がよく知っている。



「別に、勝手にあっちが寄ってくんだよ。それに海老名が面白がって手を組んでるだけだ」

「へぇー」

「でももう、目が覚めただろうよ」



あんなことがあったんだ。
もう俺には近づいてこねぇだろ。

それでいい。
そもそも俺とあいつは住む世界が違う。