嫌いだった。
自分の顔も、声も、自分の存在自体が。



誰にも望まれない自分。
こうじゃなければ。

自分がもし女だったとしたら。


もっと望まれて、愛されていたのだろうか。



不毛な考えが時折頭をよぎる。




俺は退院し自宅療養に切り替わった。
幸いにも脳に異常はなく、骨折等もしていなかったためだ。



姉ちゃんと暮らすアパートに戻ってぼんやりと一日を過ごす。
姉ちゃんは仕事に行き、日中は一人だ。

仕事を休もうかと姉ちゃんは言った。
でもこれ以上、俺のせいで迷惑をかけたくなくて追い出すように仕事にいってもらった。



姉ちゃんも…。
俺さえいなければ、幸せになれたんだろうか。



…なれただろうな。
姉ちゃんは弟の俺から見ても綺麗な人だ。
性格だって、こんな俺を見捨てずにいてくれるくらいにはいい人だし。
きっと、男は放っておかない。