昼休み、省エネで電気が消された部屋に友香が入ってきた。

「加奈、ちょっときて」

「え?うん…」

声を潜める友香に、言われるがままついていって部屋を出た。

「お昼にラウンジに来てってラインしたの見てなかった?」

「ああ、ごめん。
休憩中でもあんまりスマホいじらなくて」

ラウンジからここまでは結構時間がかかるのに、手間をかけさせて申し訳ない。

ラウンジのテーブルでは、葉山がすでにコンビニの弁当を食べていた。

「もーなんで先に食べ始めるの?」

「えっ?食べるななんて言わなかったじゃん」

「こういうのは待ってるのが普通でしょ?」

「え?そうなの?ごめん」

このカップルはいつもこの調子のまま変わらないな、と思ったら頬が緩んだ。

「加奈は?」

「うん。パン持って来た」

私が持って来たのは一袋に6つ入っているパンの1つだ。

「それ1個だけ?足りるの?」

「昨夜ちょっと飲みすぎちゃって、胃がもたれててね」

友香が顔を翳らせたから、咄嗟に嘘をついて笑ってみせた。

最近ゼリー類ばかり食している私にしてみれば、固形物はこのくらいで精いっぱいだ。