シャワーを終え、栄養ドリンクを飲んで寝室のベッドに横になる。

カーテンの向こうから差す光がやけに明るくて、そっとカーテンを開けた。

暗闇に真っ白な満月が浮かび、周りを濃紺に照らしている。

「…綺麗。秋と見たいなあ」

きっと秋は『ホントだ、綺麗だな』って目を細めて笑ってくれるだろう。

月明かりで棚のフォトフレームが反射してキラリと光る。

これは今年の春、瑞樹くんと菜乃の結婚式でみんなが久しぶりに集まった時に撮ったものだ。

瑞樹くんたちは私と秋が出会った合コンで知り合い、私たちと同じだけ年月を重ねてきて先にゴールインしたのだ。

私と秋が瑞樹くんたちのようになれないのは、ちゃんと理解している。

だけど…もう少し時間がほしい。