翌日の朝一番、通信販売事業部のフロアへと向かった。

イケメン兄弟として有名ではあっても、私には全く興味がなかったから、秋さんの顔はわからない。

フリーアドレスだから席も固定していないし、とにかくかっこよさそうな人を探せばいいんだろう。

通販部のフロアを見渡し、すぐに彼を見つけた。

イケメンだという特徴だけなら、他にも同年代のイケメンがいないか確認しなければならない。

だけど、この人が秋さんで間違いないと思った。

彼が纏う雰囲気は、加奈によく似ていたから。

ドキドキしながら彼に駆け寄って声をかけた。

「おはようございます。穂積さんですよね?」

パッと顔を上げた彼は、見たことがない私に少し不思議そうな顔をする。

多分あまり眠っていないんだろう。

目は虚ろで顔色も悪く、壊れそうなほど弱っているように見えた。

それを見て私の迷いは完全に消えた。

「お見せしたいものがあります。
少しだけよろしいですか?」

彼の顔は困惑に満ちているけど、私の真剣な表情に何かを察したんだろう。

ふたつうなづいてゆっくり立ち上がった。