教室の席について静かに1人で本を読んでいる私はガヤガヤとしたクラスメートの声が不快で顔を歪ませる。

教室を走る音、誰かが机を叩く音、誰かの笑い声。
その全てが耳に入り、私の大切な読書の時間を妨害してくる。

しかし、その不快な気持ちを誰かに伝えることはない。

そもそも、この不快な気持ちを気づいてくれる者、ましてや、私が顔を歪めていることにすらクラスメートは気づいていない。

気づいている人も中にはいるかもしれないが、見て見ぬふりをきめている。

誰も私を気にかける人はいない。それが私にはありがたかった。

[人を信じるな。人と関わるな]それが私の中での法律だった。

私のことは、ある事件がきっかけで世界中の誰もがというのは少々大袈裟だが、大人数の人が知っている。

少なくともこのクラスの人間は全員知っていることだろう。

だから、みんなは私に話しかけてこない。

彼らは哀れんでいるのだ。私を。

別に私は友達がいないことに対して悲しいとか寂しいとかそんな感情を抱くわけじゃない。

私は法律を絶対に守らなくてはならないのだ。

私に関わった者は不幸になるから…