【茜side】

ガラッ…



「誰も…いないよね?」



電気の消えた暗い図書室に入り、誰もいないことを確認して私は奥に進んだ。


カウンターの向こう側、レトロな雰囲気の茶色いドア。



ドアノブに手をかけ、ゆっくりと回した。



「失礼しま~す…」



ドアを開けると、ふわっと香る優しい匂い。


先輩、本当にいるのかな…?



“ 午後4時30分、図書準備室で会おう ”


昨日はそれしか言ってくれなかった。

そのあとすぐ舞ちゃんたちが戻ってきて、あの日はそこから一言も話せず。



「有馬先輩~?いますか~?」



薄暗い部屋に人の気配はなかった。

ただ古い本たちがずらりと並ぶ本棚が壁一面を囲んでいるだけ。


まるで古い図書館にでもいる気分だった。



図書室の奥にこんな部屋があったなんて…