ーー





「散歩に行く。」

少しずつ

まずは一人で外へ行こう。

下「了解っす」
下「良かったっす!」

良かった?人が怖くて外に出れなかったのに、外に出れるようになれて?

「なにが?」

下「なんでもないっす笑笑」

そんな嬉しそうな顔するなよ

無理してでも行かなきゃ。


ーーー

繁華街


勝手に足がここまで動いた。
人が多いけど、多すぎるわけでもない

不「お前夢燐の姫だろ」
不「かわいい〜」

バカな不良4人。
喧嘩…してもいいけどやっぱり
周りに人多いなあ


女「あれ棗ちゃんじゃない?」
女「夢燐の姫って言ったよね?」
女「最悪、次は夢燐かよビッチ」

クラスの女か
バレたくないな。


大人しくしてよう


不「逃げないのな。」

ついて来い
そういってワゴン車に乗せられた


不「夢燐の倉庫まで、すぐ応援頼め。」

あ、勘違いしてるな
「私夢燐に大切にされてる姫じゃない」

不「嘘はゆうなよ」

やっぱ信じねえよな


不「ついたぞ降りろ」

降りるとたくさん人がいた。
にきっとこいつらの仲間。


ガシャン

「「誰だ!」」

不「黎明(れいめい)だ」

零「潰されてえのか」

蓮「俺やっちゃいたーい!」

不「おいおい、まてよ、
こいつどうなってもいいの?」

そう言って私を前に突き出す

蓮「お前…」

あ、嫌そうな顔

伊「姫面かよ(ボソッ)」

姫面ね、

不「あれ?お前マジで姫じゃねえの?」

蘭「認めてない」

関わる前から拒否られて
私を見てもらえない

不「は?マジかよ」

所詮。そんなもの。

零「…せよ」


私に存在価値なんて、









私いないみたい




不「あ?」























だれかちゃんとみててよ
























零「棗を返せよ!!」



レイ。



隼「お姫様返してもらうね」

レイ。隼。

不「やっぱり姫なんじゃん、

じゃあ君たち、近づいたら
わかってるよね?」


私の首筋にナイフを当てるバカ。


そうか私
人質か。
他の子だったら怖くて動いて食い込んじゃうんだろうな。それってすごく痛そう。

不「あ?お前怖がれよ」

え、なんで私キレられてんの?
意味わかんない

不「痛そう。じゃねえよ。
やられてんだぞ叫べよ」

あー、そうだった。

「い、痛いなあ〜」

不良くんに言われて心を込めて
人質のセリフを言ってみた

隼「棗、もう無理があるからやめなww
それにさっきっから全部声に
出しててウケるからやめて力入んないw」

「あ、うん、ごめん」

頑張ったんだけど。


不「ふざけんな!マジで刺すぞ」

本当にさせるのか見て見たいなあ
と意味を込めてニコッと笑った。

不「クソッ死ね」


死ねか。

つまんねぇ台詞。

振り上げられたナイフを寸前でかわす。

不「はあ?」

「楽しそうだったからそのままにしてたんだけど、死ねなんて案外つまらなかったから。」

みんなも訳が分からなさそうに見ている

どうして避けれるの!?みたいなw

隼のあの顔笑えるw


「~♪ 攻撃は最大の防御なのに、逃げてる。
僕を〜止められるやつはどこにもいない







ね?」


あーあ、本当一瞬。つまらない。
もう伸びてるし
たかが1発殴っただけじゃん

隼「棗…お前。」

夢下「すげえ。」

ちょっとクラクラするなあ

零「棗。」
そういってお姫様抱っこされる

「降ろせよ」

零「疲れてんだろ」

あーわかるんだ。

零「俺の部屋貸してやる寝て来い」

「ん」

お言葉には甘えさせてもらう


ーーーーーー


隼side


「零!棗ってもしかして、」
零「狂歌、だろうな」

やっぱり。

伊「いやないでしょ」
蓮「なんかの間違いだよ」
蘭「狂歌があんな女な訳ねえよな」

力を目の当たりにしているのに
あからさまに否定をする3人。

「なんでそんなに棗を拒否るの」

伊「女は無理だけど特にあいつは無理」
蓮「それな」
蘭「男目当て」

どうしてこんなに。

夢下「さっきのって夢姫ですよね!?
狂歌さんだったんですか!
すごいです!!」

伊「あの相良棗だよ?」
蓮「そうだぜ?あの男好きの」

蘭「関わりたくねえ」

きっと幹部がここまで嫌ってたら
下っ端も相良棗のことは知ってるし嫌だろうな

夢下「何言ってるんですか」

伊「あれ?お前ら知らない?噂」

夢下「いや、知ってますけど
知らないんですか?」

珍しく下っ端が食いついてる

伊「あいつ月花の総長に二股かけて
龍蓮花まで手出してるやつだよ」

夢下「あー、それですか?
最近優馬先輩が戻ってきて
ちゃんと説明してましたよ?
あれは森崎って女の人の嘘だって」

森崎…って、
「あの珠蛾の姫…」
珠蛾は 1日で消えた、
狂歌がやったんだと言われている。

そして狂歌が棗。

だとすると復讐だったという事で辻褄があう

伊「でもあいつ、今までビッチとかいわれても
高い声出しながら笑って
否定しなかっただろ!?」

零「肯定もしなかっただろ」

零…

隼「否定は肯定と取られ
肯定も肯定と取られるからねえ」

ーーーー
ガチャッ

零「棗、大丈夫か」
「ああ」
隼「あれー?棗〜
蓮と伊織と蘭がいるのに
いいの??笑笑」

なんの話だ

隼「喋り方。」

あー。隼のやつ楽しんでるだろ

めんどくせえ。

世の中の女は大変だな

「ふぁっ!?
蓮くんに伊織くんに蘭くん!
こんにちわあ〜!」

蘭「…」
伊「…」
蓮「…」

うわ何この反応。
せめてなんか言えよ


「だる」

隼「wwww」
こいつまじ何。
「隼うざ」


隼「だってww
棗、世の中の女大変とかw
お前も女だしwww
思ってても口に出すなよw」


また口に出してたか。

「悪い」

隼「なんで謝るの!?笑笑」



蘭「おい、」

おー無口が喋り出したぞ

蘭「おい、無口じゃない」

隼早く構ってやれよ

蘭「反応しろよ!」

隼反応しろよ!吠えてるぞ

隼「wwwww」
「おまえ、笑ってねえで反応してやれよ」
蘭「お前だよ!あと吠えてねえし」

「へーそーなんだ。」
だからなんだよ

蘭「へーそーなんだ。じゃねえよ
で、お前は狂歌なの?」

まあ、もう嘘つけねえしな
「そ。」

蓮「マジで?」

「ん」

伊「あのよくいる優雅ってやつも桜蘭?」

「そ」

隼「ww」

「ねえまじ隼うざい」

隼「ごめんごめん笑笑
棗がそとんしか言わないから」

零「てか、お前なんで捕まってた」

「散歩」

伊「族の総長が散歩?バカなの?」

蓮「誰かしらつけろよ」

うるせえな
「別にバレてねえからわかんねえだろ」

零「なんでここに来る前に喧嘩しなかった」
「バレたくねえから」

蓮「結局俺らにバレたやん」

「クラスの女よりマシ」

蘭「クラスの女がいたのか」

隼「マシ扱いw」

蘭「で、珠蛾を潰したのはお前?」

「そ」

蘭「なんで潰した」

「お前に関係ねえ」

蓮「は?言えよ」
蘭「理由なしに潰したのか?」

「あのさあ、
どうして他の族に
族を潰した理由を言わなきゃなんねえんだ
お前ら族を潰した時、
理由を他の族に言うのか?言わねえだろ」

隼「それなー」

伊「隼お前、こっち側だろ!?」

隼「こっち側って何ww
俺は棗側です〜w」

蘭「お前個人の理由で珠蛾を
巻き込むのはおかしいだろ」


伊「そうそう。復讐なら森崎だけにしなきゃ」

蓮「強いからって
やっていいことと悪いことがある」

…強いからって、か。
何も知らないもんな。

零「…」
隼「…」



復讐なんかじゃねえよ。






じゃあ逆にあの時どうすればよかったんだよ。


「帰る」


蓮「もう来んな」

来ねえよ。

空気の悪い幹部室を出ると
夢燐の下っ端達に囲まれた

夢下「狂歌さんですよね
俺たちの憧れです」

「その狂歌だが、
お前らが憧れるような存在じゃない」

夢下「どういうことですか?」

「幹部に聞けばわかるんじゃないか?」

夢下「あの人たちは偏見の塊ですから」

下っ端はいい子達か。

「お前らは自分の意志をしっかり持ってるんだな」

夢下「え!?あ、別に幹部の人たちが嫌いなわけじゃないですよ!好きです」

「わかってる。お前らは強くなれるよ。
周りに流されない強い心があれば」

夢下「はい!!!」

「じゃあな」

夢下「はい!また今度!棗さん!」


名前…
知っててあの態度なんだな。

「ああ。」


さ、戻るか。

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ーーーーー
下っ端side

「ああ。」

そういった棗さんは、
すごく嬉しそうで少し、
寂しそうににっこりした。



あの表情をみても
彼女を悪者と呼べるのだろうか。


少なくとも、俺ら(下っ端)には、
誰かのために強がる優しい女の子にしか見えなかった。