幸せ食堂の片隅に小さな販売スペースができた。


いつかA定食を食べに来てくれたお客さんが、手作りのストラップを持って来てくれたのだ。


最初はタエにあげると言ってくれたのだが、タエがその出来栄えを見て驚き、この店で販売しませんか? と、話を持ち掛けたのだ。


場所代は取らず、マージンも取らない。


代わりに時々ご飯を食べに来てくださいと約束をした。


それからというもの、男性客は週に1度は奥さんと共にご飯を食べに来るようになってくれた。


ストラップの売れ行きは順調で、毎週新しい商品を作るのに忙しそうだ。


けれどその夫婦の目は輝き、夢と希望に満ち溢れているのがタエにもわかった。


幸せそうな夫婦を見ていると、タエも幸せな気持ちになった。