とても良く晴れた夏の午後、カウンターの奥で目を細めて眠そうにしているタエがいた。


背は小さく、黄色いエプロンはタエの体にはブカブカだ。


だけどこれしかエプロンがないのだから、仕方がない。


窓から見える海ではサーファーたちが楽しんでいるけれど、タエはそれに興味を示さない。


ここでアルバイトを始めたころは窓から見える景色がとても新鮮で楽しかったけれど、今ではもう馴れてしまった。


お客さんの来ない午後に大あくびをしそうになった時だった。


カランカランとベルの音が鳴り、タエはパッと姿勢を正した。


入口へと視線を向けると、そこには中年の男性と小学生の男の子が立っていた。


きっと親子だろう。


顔の形がよく似ている2人だ。