「ごめんね、のり。もう別れよう。」
やっと言えた、そう思った瞬間ピンと張っていた糸がプツン、と静かに絶たれた。相手に聞こえないようにふぅ、と落ちつけるための深呼吸をした。
のりはどんな顔をしているのだろう。悲しんでいるのだろうか、もう何も思っていないのかもしれない。
「‥なんで?」
電話越しに聞こえるのりの声は少し震えていた。
「もう無理だなって思ったの。今までは好きっていうだけで付き合えてこれたけど、これからは受験もあるし付き合っていける自信がもう無いから‥。」
「そっか、ひかりが決めたことならもう何も言えない。」
「うん。ありがとう。本当に楽しかったよ。」
私はそこで電話を切った。よかった、涙はまだ出ていない。
私の恋は終わりを告げた。
クリスマスの1ヶ月前の話だった。