「クリスマスなんて嫌いだ」


一人、小さな声で呟いてみる。


私、湊アスカ。


悲しきかな、クリボッチ。


共働きの両親は、今日も変わらず終電で帰ってくるんだろうから、家で一人。


クリスマスの夜に、リビングのソファの上で大して面白くもないバラエティーを眺める華の女子高生。


自分で考えて、勝手にへこむ。


友達はみんな、彼氏とデート。


イルミネーションだの、聖なる夜だの、そんな乙女なことは似合わないことくらい知ってる。


知ってる、けどさ。


「やっぱり素直になればよかった」


あの日、あの時、素直になれたら。


私も可愛い女の子になれたのかな。


後悔の波に飲み込まれそうになって、私は目を閉じた。