病院近くのバス停に降りた時には、あたりは薄暗く夜を迎えていた。

荷物を肩にかけ直し、道路の反対側にある病院目指して小走りする。


エントランスはすでに閉まっていて、見舞客用の通用口から院内に入った。

節電の為か廊下の電気が一部落とされていて、外と変わらないくらい薄暗い。

人の姿もほとんどなく、静かで冷たい空気が長い廊下に満ちている。


優ちゃんのいない居残り練習はやっぱり物足りなくて、あたしも深月も不完全燃焼のまま帰路についた。

見舞いに来るヒマがあるなら練習しろって言われたことを話したからか、深月は悩んでいたようだけどお見舞いには行かない選択をした。


「主将の顔見たら、情けないこと言っちまいそうだからやめとく。もうちょっと気持ちの整理ついたら行くわ」


と、深月らしくもないなんとも弱気なことを言っていた。


あたしも来るなとは言われてないけど、練習に集中しろって言われたばかりだし迷った。

でも優ちゃんの顔を見ない日が続くなんて耐えられなくて、会いたい気持ちが勝ってのこのこここまで来てしまった。


我ながら意志が弱い。でも優ちゃんなら笑って許してくれるはず。