今日も、

あかねを笑わせるために

仕事帰りに、写真館へよった。

「こんばんは」

店のカウンターに、

あかねのじいちゃんが

座っていた。

「朝陽くん、今日はどうやってあかねを笑わせるんだい?」

今日は、

ダジャレをいくつか考えてきた。

「ダジャレですよ。だ・じゃ・れ」

「だじゃれかぁ、私も得意だぞ〜」

!!

マジ!

じいちゃん得意なのかよ。

「写真で何撮ったの?シャーしん。どうだ!」

うわぁ、レベル低っ。

じいちゃんも、

シャーしんって言うんだなぁ。

「スゲー、おもしろい」

「そうかそうか、おもしろいか。はっはっは」

てゆうか俺、

人のこと言えねぇ。

じいちゃん以下かも。

「朝陽くん、でも今日は、あかねはいないんだよ」

「え!?」

「今日は、友達の家に泊まりに行っているんだよ」

なんだ、

あかね、

ちゃんと友達いんじゃん。

笑えないっていうから、友達いないんじゃないかって思ってた。

「そういえば、朝陽くんはまだ知らなかったねぇ」

「え、何をですか?」

「あかねが、なぜ笑わないのかだよ」

そういえば、

聞いてなかったな。

というより、

聞けなかった。

「あかねは、昔はよく笑っていたんだ。でも、あかねが6才の時、両親が事故で死んでねぇ、あかねはここに遊びにきていたから事故にはあわなかったんだよ」

全然知らなかった。

あかねの過去にそんなことがあったなんて。

「両親が死んでから、あかねは笑わなくなった。葬式の時も、全く泣きも笑いもしなかった。見送りの時、自分は死ぬまで笑わないと言った。お父さんとお母さんが死んだのに笑えないってね」

「そうだったんですか。知りませんでした」

「両親が死んで、あかねはおじのところに世話になることになったんだ。だけど、この前そのおじが、ガンで亡くなってしまったんだ。それでここに来たのさ」

その話を聞いて

あかねの心に

大きな傷があることを知った。

死ぬまで笑わないなんて

そんなの

悲しすぎる。

そう思った。