しばらく

店内を見ていると、

一枚だけ「笑顔」ではなく

「無表情」の写真があった。

17、8の女の子の写真で

遠くを見つめるようなそんな写真。

「おぅ、おかえりあかね」

振り返るとそこには、

写真と同じ女の子が立っていた。

「来てくれてうれしいよ」


店の主人はうれしそうだ。

でも、

彼女には

「笑顔」はなく、「無表情」

へんなの。

俺の心の声が聞こえたみたいに、

彼女がこっちを向いた。

「お客さん?」

「あぁ、まだ閉めないからゆっくり見ていってくれ」

そう言って店主は奥のほうへ入っていった。