「早めに来たつもりなんですけどねえ」

「まあ仕方ないだろ」

あからさまにしゅんとする私に、悠さんは「ん」と左手を伸ばす。

人前で手をつなぐのは久しぶりで、恥ずかしくて戸惑いながらそっと手を取る。

「違う。このつなぎ方じゃない」

いったん手を離し、彼は指を絡めて恋人繋ぎにした。

「はぐれるなよ? 迷子になるなよ?」

「大丈夫ですよ。一応大人です」

照れくさくて反論する私を見て、悠さんはくすりと笑った。


無事に入園し、真っ先に向かったのは絶叫コースター。

すでに二時間待ちだったけど、今日の私の一番のお目当てはこれだ。

悠さんも乗ってみたいと言ってくれたので、頑張って並ぶことにした。

他愛ない話をしていたら、あっという間に順番が来た。

…だけど、わざわざ二時間も並んだことをすぐに後悔することになった。