ケータイ小説 野いちご

この作品のキーワード

女嫌いドクターとスイートな契約結婚

CHAPTER 3
お見合い相手

週末、新しいダイニングテーブルが届いた。

4人用だから、今までのものの二倍のサイズはある。

明るいウッド調のテーブルに、背もたれがソファのように心地いい椅子が4つ。

2人暮らしだから4つも椅子はいらなくて、とりあえず2つは物置部屋に閉まった。

…だけど、結婚している以上、いつか家族が増えたりするのかな…なんてドキドキしてしまう。

先生の宣言通り、一緒に寝ていても、相変わらず身体の関係はないけど、夫婦である以上いつかは…

新しいテーブルをすーっとなでながら、先生はどこか嬉しそうに目を細めている。

「先生…このテーブルをいっぱいにするほど毎日ご飯を作れる自信が…」

「そんなつもりで買ったんじゃない。
狭いよりは広いほうがいいだろ?」

不意に腰を抱き寄せられ、顎を持ちあげられた。

「俺は凛と夫婦になった実感が湧いていくのが嬉しいんだよ」

顔がいきなりズームアップでずいぶん近い。

「ゆ、悠さん…いきなりそんなことしたらっ心臓止まります」

「凜の反応がかわいくて、つい意地悪したくなる」

ふいっと目をそらしたら、先生はもう一度私の顎を持ち上げて、唇を重ねた。

「…あのっ先生は…いつか子供が欲しい、ですか…?」

先生の顔は見れなくて、目線をそらしながら声をうわずらせた。

だけど、思いのほか長い沈黙を挟んだあと、先生は言った。

「…これは契約結婚だ。
無理に子供なんか望まない」

ズキンと大きな痛みが胸に走る。

「…そう、ですよね」

アハハっと大袈裟に笑ってみたけど、先生の顔を見れる気がしない。



忘れていたわけじゃない。

だけど、先生の口から『契約結婚』という言葉が出てくると、現実に引き戻された気分になって悲しくなる。

いつか先生の子供を産んで、子供も一緒に食卓を囲めたら、それはとても素敵なことなんじゃないか、なんて一瞬でも思った自分がバカみたいだ。


「たまには外食しよう。ついでに買い物もしなきゃな」

「…はい」



< 53/ 184 >