食べ終わる頃、北川から美咲へラインのメッセージがきた。

今日北川は忙しくて遅くまで残業すると言っていたけど、思ったよりも早めに終わったようだ。

それとも、美咲に会いたくて早く終わらせたのかな。

さっきまで口をとがらせていたのに、スマホを見つめて嬉しそうに返信をする美咲。

よかった。北川が殺されることはなさそうだ。

…いや、まだわからないか。

気が強い美咲と、のほほんとしている北川は、案外お似合いかもしれない。

ふたりのやり取りを想像したらにやけてくる。


これから北川の家に泊まりに行くことになった美咲とは、駅のそばで別れた。

駅前のロータリーまで来て、背の高い男女二人組を見つけて足が止まった。

…え…?

見間違えるわけがない。自分の旦那様の背格好を。

そして隣にいる女性は…

一瞬彼女と目が合った気がしたけど、すぐに雑踏に紛れて見えなくなってしまった。

あれは多分…ううん、絶対。

菊川先生だった。