空き教室の窓ガラスを拳で叩き割った末那の姿を見た数時間後。


6限のこの時間、クラス内ではなんとも言いがたい空気が漂っていた。


末那の暴走を動画で撮った蘭子が校長先生に説明したことで噂が学校中に広まり、あっという間に騒ぎになったのだ。


クラスメイトはもちろん、他のクラスの生徒までもが末那を見てはクスクス笑っていた。


男子に好かれていた末那がまさかそこまで転落するとは思ってなかったので、ショックだった。


ただ、末那本人は今の私のことをあまりよくは思っていないだろう。


なにかを失った気がするが、仕方がない。


目をつぶるしかない。


ため息をついていると、私の席に来た理子ちゃんが顔を覗かせてきた。


「どうしたの、ため息なんかついちゃって。茅乃らしくないよ」


「ん……ちょっとね」


理子ちゃんの問いに曖昧な笑顔で対応する。


きょとんとした表情は、まるで末那の暴走を知らないみたいだ。


イメチェンしなければよかったかな。


最初からこんな状況になるとわかれば、イメチェンせずに末那と仲よく過ごせたかもしれない。