私は目を覚ますと辺りを見渡した。
辺りを見渡すと、私は驚いた。

急いで着替えた。
そして外に出た。

外を見渡しつつ私は小走りで街を駈けた。
少し息が切れ始めた、一旦呼吸を整える為に止まり、深呼吸をした。

「そんなに慌ててどうしました?」
聞き覚えのある声がした。

私が後ろを振り返ると、そこに藤原さんが居た。
「あ、藤原さん!」
私はほとんど叫ぶ様にその名を呼んだ。
「どうしたんですか?」

さすがに藤原さんも微笑まず、目を見開くようにこちらを見ている。
「く、くるみさん見なかったですか!?」

そう、私は起きると、違和感を覚えたのだ。
そして、辺りを見渡した。
すると、くるみさんの姿がない。

きっと普通なら出掛けたのだろうと、思うのだろう。
しかし、私の直感はそうは思わなかった。
だから私は探したのだ。

藤原さんはそんな経緯を知らないのかもしれないが、焦っている私の事は見えている。
「知りませんねぇ。」
悠然とそう答えた。

その落ち着きぶりに少し腹が立ったが、それに苛立っている場合ではない。
「そうですか、わかりました。」
短くそう答えて、知ってる場所を駆けた。

街が夕暮れに染まる頃、私は失望だけを持って家に戻った。
少しの希望を抱いたその時、崖から落とされたような感覚がした。

また世界は私を暗いどん底の中に包み込んだ。
そういう意味で、私は死んだ。
迫り来る未来は時として人を陥れる事を私は知った。
何をしたらいいのか、何をしているのか、私は分からなくなった。

死んだとされた後、この世界に来て、よく分からないままに日々を過ごし
くるみさんと出会い、意味を見つけ、この世界はどうあるのか知ろうと思った。
そんな矢先のこんなに別れ。

どうすればいい?
私は。

ほとんど気を失ったように眠っていた。
目を覚ました所で何も変わってる事はなかったのだけど。

神様はどうも、突然と必然を繰り返したがる。
必然の生まれ
突然の出会い
必然の別れ
突然の孤独
必然の死。

言うなれば私は今、必然の別れと出会い、突然の孤独と向き合わなければならない。
きっと人は何も手にする事は出来ても手に入れる事は出来ないのだろう。

握りしめたこの手の隙間をそっと縫っていくように零れ落ちる。

しかし、そこまでネガティブな私でも、このままここで過ごしたい訳では無い。

どうせならば、意味を経緯を知りたい。
その中で、くるみにまた出会えるならば、それは突然の出会いになるであろう。

また別れる事になったとしても、次はきちんとした別れを選択出来ると思う。

きっと歩き続ければ地球の裏側でまた会える。
そんな在り来りな言葉を信じてみようと思う。
私は今日も家を出た。