ざぶざぶと、海の中から上がってくる引き締まった肉体。

愛刀の柊こそ、海水に錆びる事を懸念して置いてきているが、その肉体の鋭さは些かも錆びる事はない。

夕城 牡丹、炎天下でストイックに修行中。

今日は潮流の強い所をわざわざ選んで、小島と砂浜の間をひたすらに往復中だ。

後から聞いた話では、その海域は潮の流れが速過ぎて付近の漁師ですら船を出さないという魔の海域だそうで。

牡丹君、超人ですか。

ハァハァと呼吸を乱しつつ、濡れた前髪を掻き揚げる。

…離れた場所では、椿、リューク、ディアチームと、蘭丸、レオ、美緒チームがビーチバレーに興じている。

修行そっちのけで夏を楽しむ仲間達の姿。

「…フン」

砂浜に置いておいた、既に湯のように熱燗状態の一升瓶をグイと呷り、牡丹は再び海の方へと…。