「おばちゃーん」

学食に、満面の笑みの紀州が入ってくる。

「ニンニクラーメンくれ。ニンニクましましで」

「あら紀州君、また食べに来たのかい。朝ご飯もニンニクラーメンだったでしょ」

朝からニンニクラーメン…。

「毎食ニンニクラーメンでもいいよ。俺スゲェ気に入ったからさ」

そう言って、紀州は食券を学食のおばちゃんに渡した。

天神学園の学食はボリュームもあり、どのメニューも生徒達に人気があるが、ここまで同じメニューばかり気に入って食べてくれる者は珍しい。

おばちゃんも、つい振るう腕に力がこもるというものだ。

「じゃあ待ってて紀州君、チャーシューとメンマサービスしたげるからね」

おばちゃんは笑顔で厨房に入っていった。