「うぅぅうぅううぅむ…」

脇息に凭れ掛かり、リュートが唸る。

静々と、お茶をお盆に乗せて歩み寄ってくる古奈美。

「どう?リュート君。決まった?」

「うぅぅうぅううぅむ…」

彼は色よい返事をしない。

「大体豆柴がいけねぇんだよなぁ…そんな難しい事言ってねぇよなあ。天神行って刀剣製造技術を調べて来いって言っただけだよなあ。何でこんな時間かかるかなあ」

頭を抱えるリュート。

豆柴が何か勘違いして夕城家の虜囚になった挙句、紫陽花にすっかり餌付けされてしまった事は知る由もない。

「そもそもあの愛玩犬を使いに出したのが間違いだったか…」

「それは酷いんじゃないかな、リュート君…」

古奈美、苦笑い。