「甲斐君、駄目だよぉ…」

叱る、というほどの語気ではないものの、美緒が甲斐を窘める。

「私は別にお姫様扱いとかされなくても平気なんだから…それより、他の人にそういうのを強要しちゃ駄目。身分とか、生まれとか、天神学園ではそういうの気にしないでやっていけるから、皆この学園に集まって来てるんだから」

「申し訳ありません、美緒様」

素直に自分の非を認めて詫びる甲斐。

「それに」

美緒は甲斐の鼻先を指差す。

他人を指差すのは失礼な行為なのだが、その辺どうなのお姫様?

「甲斐君も、私の事を美緒様なんて呼ばなくていいんだよ?私の方が歳下みたいだし」

「いえ、それは」

甲斐はキッパリと言う。

「天神学園の流儀がどうであろうと、これは俺のやり方ですから。美緒様は美緒様です」

「もう…」