柊を鞘に納める。

一頻り型稽古を終え、牡丹は深く息を吐いた。

夕城流剣術極意・斬鉄の更に極みへと到達しようとする今、最早打ち合いは無用となりつつある。

近頃は蘭丸、椿とも稽古を共にする事はなくなった。

別に不仲という訳ではない。

夕城邸では衣食住を共にする仲だし、指南役のエレナからも指導を受けている。

ただ、夕城次期宗主選定の儀は、次なる段階に入ったという事だ。

同じ夕城剣士であると同時に、ライバル。

天神学園に来る前から、そう誓い合っていた。

やがては雌雄を決する定め。

牡丹の表情に、些かの緊張感が漂う。