5時限目の授業が終わると、真央がエイトの席へとやって来た。


毎時間一体何を話しているのだとうと思っていると、エイトがスマホを取り出して真央に向けた。


「やだ、恥ずかしいじゃん」


真央が頬を赤らめて抗議する。


「いいだろ。真央は可愛いんだから」


そう言いながらエイトは立ち上がり、真央を撮影しているようだ。


全くバカップルが。


俺は小さく笑い、カバンからホラー小説を取り出した。


さすがに学校内で《マッドマン・ムービー》を見る事はできないから、これで我慢しているのだ。


「仲いいよね」


沙希の声がして振り向くと、手に文庫本を持った沙希が近づいて来た。


しかし、視線は俺を通り過ぎて真央とエイトの2人に向けられている。


「あぁ、そうだな」