ケータイ小説 野いちご

最低な元カレ専務の10年愛

5.アルバム

最近は、昼休みはギリギリまでどこかで時間を潰している。

また翼に呼び出されて、敬語はダメ、とか色々言われるのがイライラするから。

「戻りましたー」

「紗知、ちょっと来て」

…昼休み、あと1分で終わりますけど。

失礼します、とドアを入ったら、翼は英字新聞を読んでいた。

「今夜ちょっと付き合ってくれないか。
仕事早く終わりそうだし」

「…どこに行くんですか?」

「俺んち」

「は?」

私のことを好きだって言っている元彼の家に行く?

いくらなんでもそんなこと…それってどんな展開よ。

「見せたいものがあるんだ」

新聞に目を落としたまま、翼は口元だけ微笑んでいる。

決して悪いことを企んでいる顔じゃない。

『行くわけないじゃない!』

なんて強気な言葉が出なくなっているのは…

なんだか翼を傷つけてしまう気がしたから。

また悲しい顔をさせてしまう気がしたから。

バカみたい。

傷ついてきたのは私のほうなのに。

「…はい」

結局、拒否することはできなかった。


< 60/ 164 >