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黒田の過去を聞き終えた私は、気づいたら頬から大粒の涙が伝っていた。

黒田の母と私の母は同じように堂園に振り回された人生だった。

黒田の母は堂園に捨てられた事実を受け止めきれず、自殺した。
このまま生活を送っていたら、いずれ私の母も自殺したかもしれない。

「お前は俺の母親も、こいつの母親のことも弄んだ。絶対に許さない」

黒田は腰に隠し持っていた拳銃を取り出し、堂園に向ける。

「ここで俺らに土下座して謝罪し、そして総理大臣を辞任しろ。一生許しはしないが、そうしたら今までに行ったことをチャラにしてやる」

緊迫した空気が部屋中に流れる。
息を飲むことも躊躇うほどの緊張感。
私は黒田の背中を見つめる。

そんな空気の中、堂園が小さな声で笑い始め、だんだんと笑い声が響き始める。

「何がおかしい」

そう黒田が叫ぶ。

「女って馬鹿だよな」

堂園は笑いながら大声で言う。