クラスが騒がしい。

皆やっぱり興奮しているのだろうか。

因みに、田中は莉花の後ろである。


なのに……

「なあー深雪希ー、何で無視すんだよー」

「うっさいなあ!あんたの席あっちでしょ!?」

「だってー」


別に、私が自意識過剰って訳じゃ無い。

こいつがいちいち言ってくるのが悪いんだ。

「なあ、マジで」

急に低い声で私に言う。

「な、何?」

「俺の事、嫌い?」

「うん、嫌い。大っ嫌い」

私はニコッと微笑みながら言った。

「えーまじかあー!そーかそーかあ!」

急に大声出さないでよ。


私は呆れながら田中の方を見る。

「いつか絶対に、お前の事、本気にさせてやるから」


……。



「あっそ、まあガンバッテー」

「んっだと貴様あ!覚えてろよ!」


そう言い残すと、田中は走り去ってしまった。

おいおい、教室で走るなよ。



……まあでも、あの癖は昔からだなー。

恥ずかしくなると、鼻の下を擦る癖。



「ぷっ、相変わらずだなあ、あいつも。」