高校2年生、今から4年前、私は1つ年上の先輩に片想いをしてた。なかなかいい感じで、両想いかもなんて、ベタに下駄履きへ手紙を入れて告白。ドキドキしながら返事を待っていたら、返って来た答えは、「直接言って欲しかった」。
ああ、だめだった、って。この返事はそういう事だって、私の片想いは終わった。
そこから先輩ともなんか気まずくなって、以前みたいに仲良くするなんて事は出来なくなってしまった。そして気が付けばお互い、違う人と付き合ってた。
先輩の事は、いい思い出だった。高校も、専門学校も卒業してヘアーサロンへ就職。何事も順調で、先輩の事も思い出す事はなくなってた。あれから何人か彼氏も変わった。だから、あれは本当に突然だった。

-久しぶり。元気してる?

先輩からのメール。あれ以来連絡も取っていなかったから驚いた。久しぶりにガラケーを開いたら私の名前が目に入って、懐かしくなって連絡したらしい。
4年振りに先輩と話した。話したって言っても文章でだけど。あの時にそれすらなくなったから-
あの頃が懐かしい。私は今よりうんと髪が短くて、馬鹿みたいにソフトボール必死にやってて、群れる女子が苦手で、何にも気を使わなくていいからって男子と仲良くしてたら悪口言われてハブられて…正直嫌な思い出の方が多い。でも、先輩との思い出は楽しい事ばかりだった。だから、

-今度ご飯行こうよ

返事は決まってた。








「おー、久しぶり」
「お久しぶりです!」

久しぶりに会った先輩は、前より髪も伸びてて、しかも茶色になんて染めちゃって、大人っぽくなってた。でも、好きだった笑顔は変わってない。
高校の近くの居酒屋行って、色んな話をした。思い出話だから、もちろんあの話も出てくる訳で…

「お前さ、告白してくれたじゃん」
「あー、しましたねー、懐かしい」
「俺さあ、口で言って欲しかったって言ったじゃん」
「言いましたねー…」
「お前、フられたって思ったろ」

そりゃあ、そうだ。先輩の事が大好きだった。4年前とはいえ、思い出すと悲しくなる。しかも本人から話を振られるなんて…これ以上抉らないで欲しい。いい思い出のまま、また仲のいい先輩後輩でいたい。どうにかして、話題を、

「そういえば私、」
「あれ勘違いだから」
「…はい?」
「俺は直接お前の口から好きって聞きたくて、ああ言ったのに」

…え?

「えぇぇぇ!?」
「もう一度告白して欲しかったわけ!それでOKしようと思ったらお前は…」
「え!知らない!分かんないですよそんな!だったら先輩から言ってくれたって…」
「だって、あれから言って来ないからもう俺のこといいのかなって…」

なんてこった…私、勝手に傷付いてたってこと…?

「…見事に、すれ違ってたんですね……」
「ほんとな…」

恥ずかしい…
え、てことは…?

「…両想い、だったんですか……?」

ちらっと先輩を見れば、恥ずかしそうに頷いた。うわ、可愛い。

「…ごめんなさい」
「ほんとだよ」

4年間、何してたんだろ。

「また会お、今度は車でどっか連れてってやるよ」
「車かー、先輩も大人になりましたね」
「お前もな、綺麗になりやがって」
「やめて照れるー!」
「うぜぇ」









それから何回か先輩と遊びに行って、何回も私の勘違いをからかわれて、初めて先輩の家に行った時、

「記念日、今日でいい?」

4年を経て、やっと先輩の彼女になれました。

「…はい、よろしくお願いします!」
「…今度は勘違い無しな」
「もー!やめてください!」



4年後、また
(会って、話をしましょう。)




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大好きな幼馴染みと、その彼氏さんへプレゼント。そろそろ結婚するらしいです。

2016.01.09 の作品です。