ケータイ小説 野いちご

エンドレスおままごと。

はじまり








『18時すぎには帰るよ』


『りょーかい。気をつけてね♡』



放課後は、高校を出てスーパーに直行。


鶏のもも肉タイムセール戦に勝利したわたしは、制服スカートを揺らしながら玄関ドアを開けた。



帰る場所は、2人暮らしには狭い1DKの部屋。


ここがわたしたちの愛の巣、とか言ってみちゃったりして~。



……って、浮かれてる場合じゃない。


早くご飯作らないとなおくんが帰ってきちゃう!



洗濯物がたまってないことを確認してから、制服のままエプロンを身に着け台所に立つ。



ぱちぱちと油の泡がきつね色に絡みついていく。


菜箸で最後のいっこを拾い上げた時、ガチャリ、と鍵が開く音がした。



火を消してから、わたしはその音の方向へ走った。



「おかえり!」


「うん。ただいま」



その姿を見るだけで、嬉しさが笑顔となってあふれ出してしまう。


つられて、わたしの大好きな人――なおくんも、はにかんだ表情になってくれる。



「なおくん、おかえりのキス」


「……ん」



まだ新品に見えるスーツを着たなおくんは、目を閉じたわたしに優しくキスをしてくれた。


その後、すぐにぎゅーっとわたしを包み込んでくれた。



これが幸せすぎる、わたしたちの日課。





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