皆が寝静まった闇の中、微かな風が草木を揺らす。 カタリ、と静寂を破った微かな音。 ふう、と音もなく消えたろうそくの灯りにぴたりとその人は手元の紙から顔をあげた。 「………誰だい?」 「…気づいた?あなたが鈍い人間じゃなくて助かったな」 重力を感じさせない軽やかな足取りで窓から室内に入り込んだ影が小さく笑った。