「うわぁぁ、先輩の猫ちゃんめちゃくちゃ可愛いですねっ!」


「……」


「名前はなんていうんですか?オスですか?メスですか?」



「……小春」





はぁとため息をついて私の名前を呼んだ高広先輩は、

くるりと首だけ動かして私をジトッと睨む。




11月上旬の昼休み。

中庭のベンチにて。



後ろから先輩のスマホを覗き込んでいた私は、キョトンとした。





「え?何ですか?」


「人のスマホ勝手に覗くな」





またため息をついてカーディガンのポケットにスマホをしまう先輩。


そんな先輩の膝の上には英語の単語帳が。





「すみません、でもスマホ見てる先輩の顔がゆるっゆるだったから、もしかしたら私の写真でも眺めてるんじゃないかって思ってしまって」