" 俺が矢沢の傷跡を変えてやるー "


先生はそう言って私の鎖骨辺りに赤い跡をつけた。
古い火傷の跡、父親からの虐待でできたあのアザとしっかりと重なるように。
それはまるであの赤い薔薇の花びらみたいで。
私は1人、鏡の前でそのリアルな印を確認して瞳を閉じた。

今でもはっきりと思い出せる。
初めて見る先生の表情、息づかい。

あの後どうやって家に帰ったのか記憶がない。
誰もいない化学準備室で何度もキスをして、我に返った私は逃げるようにその場から立ち去った。
もしも私が逃げなかったら、先生はそのまま続けるつもりだったのー?



「えーと。今日の連絡事項は…」