時計の秒針の進む音が異様に響く室内。

自分の家のリビングにいるはずなのに、非常に居心地が悪い。

それはソファで隣に座る圭のせい。

淹れたての熱かった珈琲はすっかり冷めてしまい、手にしていたマグカップも冷たい。

そんな珈琲を圭は飲み干すと、テーブルの上にそっとマグカップを置いた。

コトンと音が響く中、チラッと隣を見ると、圭はジロリと私に鋭い眼差しを向けた。


「ねぇ……姉ちゃんってバカなの?」

放たれた言葉がグサッと胸に突き刺さる。そんな私に気づくことなく圭は辛辣な言葉を並べていく。


「そもそも見合いするのに相手の写真を見ないで行く時点でバカだし、会って相手があいつだって気づいたならすぐに言うべきだろ。……なに流されて惹かれちゃっているわけ? アホすぎて呆れる」

救いようがないと言うように息を吐く圭に、居たたまれなくなる。

圭は君嶋くんのことを知っている。

それというのも姉弟になって数ヵ月が経った頃、うっかり昔の太った頃の写真を見られてしまったんだ。