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落ちる。堕ちる。墜ちる。

“それ”は何度だって、私の目の前を落ちる。

ワンルームマンションの窓の外、ほら、また目が合った。

血に染まったような赤いワンピースに、闇にさえ溶け込めない黒い髪。逆さを向いて勢いよく落下したその人は、重力に押しつぶされたように、地面でぐちゃり。と嫌な音を立てた。


「もう止めてよ……」


絞り出すように声を上げても、また始まるそれは安易に踏み込んだ愚かな私への罰のように思えた。




また、ぐちゃりと人が死に逝く音が聴こえた。




【影喰い】