『柚月、柚月!』


聞き覚えのある声にハッとして振り返ると、そこには学ラン姿の彼が立っていた。


『俺、約束どおり一位とったよ!』


表彰状を手に持ちながら満面の笑みでそう告げるのは、私の大好きな人、涼(りょう)ちゃん。


『すごいっ、涼ちゃん!おめでとう!』


私がそう言って彼に抱きつくと、彼もまたぎゅっと抱きしめ返してくれた。


164センチの彼と、私の身長差はあまりない。


だけど、男の子だから背中は広くてしっかりしてる。


『柚月の応援のおかげだよ』


彼はそう言って腕を離すと、冷えた私の両手を取って、温めるようにぎゅっと握りしめてくれる。


『うわー、また冷えてる。柚月の手って、いつも冷たいよな』


この言葉は、彼が私の手に触れるたびにいつも言う言葉で、私はこれを聞くたび、自分が冷え性でよかったなぁなんて思っていた。