「来週から同居始まるわよーっ!」



……そんなお母さんの一言に頭がついていかない私。



「……誰と?」

「んー…幸(さや)の大好きな人?」

「………えぇぇえええ!?」



私の大好きな人なんてどう考えても1人しかいないよね!?


幼なじみで、ずっと大好きな、私の彼氏……。


だけどお母さんの言ってる事がもしも本当だとしたら……。



「しばらく24時間はずーっと一緒に居られるって事!?」



テンションが上がった私を見てお母さんは可笑しそうに「さぁ?」と濁した。



「ほら、幸! 来週には来るんだから、空き部屋の掃除しなきゃ!」

「あっ、そうだね…!」



うちは私が産まれる少し前にお父さんが頑張って建てたらしい一軒家で、結構広いから客間ともう1つ大きめの部屋が空いてる。


普段使わない部屋だから掃除大変そう…。浮かない顔をしている私にお母さんは、



「じゃ、頑張ってね!」

「う、うん!……ん? お母さんも手伝ってくれるんだよね?」

「お母さん忙しいから」

「嘘でしょ!?」

「ファイト! 幸なら出来るって!」



そう言い残してそそくさと庭に向かう母を心の中でひっそりと恨んだ、昼下がり――。