いつからだろう。

君を愛している、と思ったのは─





あの夏の日。

不快なまでに照りつける午後の日射しの下。

不安と孤独に涙を流す南条を抱き締めた時、それは決してまだ彼女への愛と呼べるものではなかったように思う。



南条を助けることで俺自身が救われていた。南条に頼られることで自らの存在意義を実感していた。

それは愛に似せただけの、自身のアイデンティティのために彼女を利用した偽善に過ぎなかった。

そう思う。



じゃあ…



『君を愛している。』



そう思ったのは…?─