稚己side



何処…ここ。


思い瞼を持ち上げれば、黒い闇の空間が広がっている。



暗闇をただひたすら歩くと、一分だけ明るく光が差し込んでいた。



「光?」



私は急ぎ足でそっちへ走って行く。



あ…。



光の先にはお父さんと大好きなお母さんの姿。



「お母さん!お父さん!」



私は駆け寄ろうと走るが、2人は私に手を振っている。



「待って!お母さん!お父さん!」




「稚己…行くな…。」



誰?



誰なの…私を呼ぶのは。



怖いのに、少し懐かしい。



私は振り返りらまた暗闇を歩く。


お父さんとお母さんの所に行きたい気持ちはあるが、声の主が気になり探し回る。



「ここだよ、稚己。早く帰って来て。」



どこ…?



誰なの?



暗闇に現れた一つの光る玉が私の目の前にやって来ると、私の体の中に入っていった。



「やっと見つけた。おかえり、稚己。」



すると引き戻されるかのように、私の体はスゥッと宙に浮いた。