その日に昔の知り合いの中川くんが勤めている大手ゼネコンに寄り件の過労自殺について話を聞くことになっていたので予定の時間に行ってみると彼は、ちゃんと資料を持って待っていてくれた。



    昨日は、ごめんよ。ちょっとほんとに忙しいんだ。



    はい、これが件の過労自殺の書類ね。


    本当に申し訳ないと思ったことだけど、桜川さんには理解できないかもしれないけどさ



    東京オリンピック関連で建設事業で、どこもかしかもてんてこ舞いなんだ。




    それはニュースや新聞で見かける。だけど人が亡くなってからじゃ遅いんだよ。




    亡くなった人やその家族の人たちはどうなるの?



    もし、その人たちに愛する人や好きな人、大事な人がいたらって考えたことない?





   
      そりゃ、考えないことはないけど。




    ウチは今が稼ぎ時なんだ、桜川さんは国家公務員だから一般企業のことは決してわかることはないよ。


    そういって彼は聞き取りを打ち切った。