ケータイ小説 野いちご

幕末にタイムスリップさせられました!?参〜新選組と殺し屋の僕〜

伊東 甲子太郎
お凛さん

……さすが鬼の副長土方さんだね。

一瞬見せた僕の弱さだけで、僕の心中を全て見透かして、僕にとって一番辛い罰を与えた。

きっと非情で優しい土方さんにしか、こんなことはできないよ。

副長室の襖を閉めた僕はフッと自嘲した笑みを浮かべると、冷たい廊下を歩き始めた。

……あっ。どこかしらか、下田さんの死を嘆く声が聞こえる。

下田さんは年下の面倒見が良い人で新選組でも人気が高かったから、当然って言ったら当然なんだけど、今はあまりこの声を聞きたくなかったなぁ。

下田さんじゃなくて、僕が死ねばよかったんだったって皆に言われてるみたいだから。


「……なーんて、おこがましいにも程があるよね。僕は、下田さんに代わって死ねる程立派な人間じゃないし。」


僕が小さく呟いていると、新選組の南門の方から微かな女の人の悲鳴が聞こえた。

血の匂いこそはしないけど、女の人が叫び続ける声だけは聞こえる。


「……あ〜あ。女の人に叫び声を上げさせてる奴も相当運が悪いね。『今の僕』と顔を合わせることになるなんてさ。」


ふと小さな笑みをこぼした僕は、解さない獲物を狩る気分で南門に向かった。

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