ヒトリノセカイ

あ…あの人、痛そう。

整った顔に、薄く笑いを貼り付けている。

歩道の向こうから、こちらへ向かって歩いてくる、あの人。

綺麗な姿勢。

その胸に、長い矢が突き刺さっている。

矢は、

きっちり胸を貫通してて。

ビクッとくる光景。

なのに、頭がとっても冷静にそれが見えることを受け入れてしまっている。

でも、どうしよう、目がそらせない。

このまま見続けてたら、あたしの視線に、気づかれてしまう。